個人がウォール街を倒した、GameStop騒動解説

ゲームソフト小売り大手ゲームストップの急騰劇とRobinhood取引制限について解説します

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はじめに

アメリカではここ数日間、GameStop株価の乱高下していると話題になっている。まず簡単に何が起こったのかまとめると:

  1. ある株式市場やトレーディングのRedditコミュニティが伸びていた。

  2. 同時に、ビデオゲーム販売チェーン「GameStop」の株価が下がると思った5,000社ほどのヘッジファンドが、空売りをする(他の銘柄も空売りした)。

  3. Redditコミュニティのユーザーたちは空売り情報を聞きつけ、それに対してGameStop株を爆買い。

  4. GameStopの株価が大幅に上がり、ヘッジファンドが大損する中GameStop株を買い戻し始めて、さらに株価が高騰。

  5. GameStop株がボラタイルになり、株の売買にかかるコスト・手数料が上がってしまった影響でRobinhoodなど株取引アプリが空売りされてた株の取引を制限。

  6. その影響で株価が一時的に下がったが、Robinhoodが資金調達などを行って、またGameStopなど空売り銘柄の売買が再開された。

空売りしたヘッジファンドは合計$70Bぐらい損したと言われている中、今回はこの騒動で実際に何が起きたのか、取り間違いについての説明、そしてこれが今後どう金融業界を変えるのかを解説したいと思います。

まずは金融用語のおさらい

今回は少しテクニカルな話も多いため、まずはGameStop騒動で出てくる用語を簡単に解説したいと思います。

空売り「Short」とは?
普段だと株を買う際には、株価が上がるのを期待して購入する。株価が上がって売ると、株価が差額分の儲けをもらえるのと、逆に株価が下がって売ってしまうと差額分マイナスになる。株価がゼロになるとリターンがゼロなので、投資分がマイナスになる。端的に言うと最悪の場合、ダウンサイドが投資分を全部失い、アップサイドは無限にある(株価が上がり続けると儲かる)。

その中、空売り(アメリカではShort Selling)と、会社に対して逆張りする人・会社がいます。手持ちの株式を売ることを「現物の売り」というのに対して、手元に持っていない株式を、信用取引などを利用して「借りて売る」ことを指します。 株価が高く、これから下がることが予想されるときに空売りをして、その後予想通り株価が下落したところで買い戻して利益を得るものです。

上記事例では、空売りする人(例:ヘッジファンド)がブローカーから会社Aの株を10株分借りて、それを今の株価で売る。それが例えば1株$50であれば、合計$500で売る。その株価が$40になった場合、ヘッジファンドが$400で10株分購入して、その10株分をブローカーに戻して、儲けの$100分をキープする。

空売りをするのは株価が下がると信じている、いわゆる会社のパフォーマンスが下がると信じているから。それ以外にはロングポジションで投資している人がダウンサイドリスクをヘッジするために行うもの。

色々複雑なやり方はあるが、普通の空売りを行うとかなりのリスクを背負うことになる。理論的には株価がずっと上がり続けると、無限のリスクがある。

そして空売りしているのが見つかると、過去には他のヘッジファンドがその会社の株を爆買いして、株価を強制的に上げるする場合もある。株価が上がってしまうとどんどん空売りしたヘッジファンドが株を買い戻すタイミングで損をするので、早めに買い戻す時が多い。この流れを「Short Squeeze」と呼ぶ。しかも1社でもヘッジファンドが買い戻すと、その会社の株を買うこととなるので、さらに株価が上がり、次々とヘッジファンドが買い戻すようになる。

長期的に株価が下がる会社と思っても、結局ヘッジファンドはブローカーなどから株を借りているので、ブローカーが急遽ヘッジファンドに株を戻すようにお願いすることも可能になる。その株分のキャッシュが無ければ、ヘッジファンドは自分の持っているアセット(そのほかの投資している株など)を渡さなければいけない場合もある。そのため、本当に株価がゼロになる会社でも、Short Squeezeされた場合は大損するヘッジファンドも現れる。

この情報をもとに、今回の騒動について解説していきます。流れを分かりやすくするためにいくつかのフェーズに分けました。

パート1:GameStopの事業とヘッジファンドの動き
パート2:Redditから生まれたヘッジファンドへの対抗
パート3:Robinhoodなど株取引アプリの空売り銘柄の取引制限
パート4:Robinhood騒動後の動き

パート1:GameStopの事業とヘッジファンドの動き

GameStopは1984年に設立された、アメリカの大手ビデオゲーム販売会社。アメリカでは現在約5,000店舗あり、2019年の売上は約$6.5B。

2005年〜2012年ぐらいがピーク時で、2011年の売上は$9.5Bで、株価も2007年では$62.11となった。自社ゲームはなく、単純にビデオゲームやコンソールを販売する店舗でもあるため、2020年ではコロナのインパクトでかなり苦しみ、過去12ヶ月間の売上は$5.2Bで$275Mの赤字となった。株価も2020年3月には$3.50まで下がった。2020年末時点では会社の時価総額は約$1.3B。

そんな中、GameStopの事業復帰をするために、2019年に上場したペットフードを提供するChewyの元CEO兼創業者のライアン・コーエンが取締役としてジョイン。そして、2020年の夏あたりから数名の投資家や個人がGameStopの事業改善が可能と思い始めて、徐々に株価が上がり始めた。同時に、数社のヘッジファンドなどがGameStopの事業が悪化すると思い、空売りし始めた。中では有名なヘッジファンドのMelvin Capital、Point72、Citron Researchなどが空売りしていた。

GameStopが実際今後伸びるか分からないが、会社のEC展開や店舗をどう体験センターに進化させられるかが恐らく鍵となる。実際に2020年Q3ではGameStopのEC事業が257%成長している。それを信じる・信じないかによって、株価を買う・空売りする投資家が別れた。

2021年1月11日あたりまでの株価の動き:
・2020年4月3日:$2.80
・2020年9月1日:$7.65
・2021年1月4日:$17.25
・2021年1月11日:$19.94

パート2:Redditから生まれたヘッジファンドへの対抗

GameStopの空売りはヘッジファンドの公開資料を見ると分かったりするので、誰でもみれる状況。それを今回あるRedditコミュニティがピックアップして、空売りを対抗するためにGameStop株を買い始めた。そのコミュニティがSubredditコミュニティのWallStreetBets。

WallStreetBetsとは
2012年からあるReddit内のサブコミュニティであり、元々ハイリスクの株の売買を話せる場所として作られた。ここ最近まで小さいコミュニティで、2017年時点でようやく10万人を超えたグループとなった。

取引アプリが流行り始めて、Z世代も投資を頻繁に行うようになった2020年ではコミュニティのメンバー数が増えた。Robinhoodの画面を見せて投資の実績を語り合ったり、アドバイスをもらえる場所となった。コミュニティ内のコミュニケーションはRedditらしく、Memeをよく活用して、半分ふざけているようにも見える。

2020年末では180万人ぐらいまで増えて、1月ではGameStopやその他の銘柄を空売りしていることについての投稿が増え始めた。1月25日だけを見るとコミュニティ内の投稿の44$がGameStopについてだった。GameStopについて実は1年前から会社の株を買うべきと言っているユーザーもいた。

この買うべき銘柄でありながら空売りをしている人たちの存在を見た一部のユーザーたちは、GameStopのShort Squeezeをすることを決意して、そのことをWallStreetBetsに書き込んだ。

基本的には大金を持っているヘッジファンドがGameStop株を爆買いして株価を上げるのを、今回はRedditやDiscordコミュニティで個人投資家が少額で投資すると発表し、それを多くの人が同じことをしたせいで結果的に多くのGameStop株が買われ始めた。爆買いし始めた影響で、GameStopの株価が一気に跳ね上がった。数日間でGameStopの時価総額が$2Bから$24Bとなった(内1日で$10B上がった)。1月4日の$17.25の株価が1月28日には$469.42になっていた。

この爆買いの雰囲気はWallStreetBetsのDiscordチャネルで分かりやすいかもしれない。

この話題をさらに膨らませるかのように、イーロン・マスクもWallStreetBetsについてツイートをした(その影響でさらに株価が上がった)。

Elon Musk @elonmusk
Gamestonk!!
reddit.com/r/wallstreetbe…

ちなみにこのGameStop株価と今はやっているTikTok音声を組み合わせた動画もバズっている。


爆買いがもたらした影響

この爆買いで最も影響されているのはGameStopを空売りしたヘッジファンド。その中でも注目されているのがMelvin Capital Management。Melvin Capitalは$55M分のGameStop株を空売りした。Melvinはヘッジファンド業界ではトップパフォーマーとして知られていて、2015年に立ち上げた初年度から47%のリターン(業界でトップ2に入る)、大体毎年30%のリターンがあるファンド。2021年は$12.5B分のアセットを持ってたのが、GameStop爆買いのせいで1月22日時点で30%ダウンになってた。そして1月25日は空売りポジションをカバーするために$2.75Bの調達を他のヘッジファンドからも受けた。そして1月27日にはGameStop株を買い戻して、大損したと報道されている。

Melvin Capital意外にも、GameStopを空売りした多くのヘッジファンドは今回損をしている。金融データを分析するOrtexによると、1月28日時点では空売りした5,000社のヘッジファンドなどは合計$70Bほどの損をしたと発表。

今回のきっかけが他のヘッジファンドではなく、Redditから始まった個人投資家の集まりということが、今回の騒動の大きな違いでもある。個人投資家が集まって何兆円とお金を扱っているヘッジファンドを潰す寸前まで追い込んだのは、過去だとあり得ないこと。しかもGameStop意外にも空売りしてた銘柄をWallStreetBetsがターゲットしたため、$70B以上の損があるのは間違いない。

その他爆買いされた会社(一部抜擢):
・AMC:映画館チェーン
・Blackberry:携帯端末メーカー
・Bed Bath & Beyond:地域雑貨小売店チェーン
・Nokia:携帯端末メーカー

ただ、個人投資家だけでここまでGameStopなどの銘柄の株価が跳ね上がったかは、正直分からない。ヘッジファンドも賢い人たちが多いので、一部のファンドや金融機関は恐らく個人投資家のムーブメントに便乗して多くのGameStop株を買ったはず。これは個人投資家だけで動かせる金額では恐らくない。

実際にアメリカ時間の1月26日のGameStop取扱額を見ると、Tesla、Apple、Microsoft、Amazonなどを超えて$20Bを超えた。

パート3:Robinhoodなど株取引アプリの空売り銘柄の取引制限

複数銘柄の株価が急激に上がっている中、アメリカ時間の1月28日に多くの個人投資家が使っていた株取引アプリのRobinhoodがGameStopなど空売り銘柄の取引制限を行うことを発表。その影響で、GameStopの株価が急落した。

$400を超えてた株価が取引制限から90分以内に75%下がった。それに対して当然ながらテックコミュニティ、個人投資家、そしてメディアから批判された。そもそもRobinhoodのブランディングは個人投資家のため、投資を民主化する話だったのが、売買を止めることで会社のメッセージと矛盾していると指摘する人も多かった。

そしてRobinhood側の説明が少ない中、完全に会社に対しての信頼度が落ちた。

さらにアメリカ政府もこの騒動について反応し始めている。

今回は特に驚いているのは、二つに分裂されたアメリカだったのに、この件については民主党も共和党も同感で調査をしたいと述べている。

個人投資家も集まって、集団訴訟を行っている。

なぜRobinhoodが取引を制限したのか?これは実は割とシンプルな理由だが、Robinhoodがあまり情報開示していないため、多くの間違った噂が流れている。まず間違った噂について説明して、その後に実際に何が恐らく行われているのかを解説します。

RobinhoodがCitadelからプレッシャーを受けて取引制限した
この話は今現在、全くエビデンスがないです。可能性としてはもちろんあるが、この噂のもとになっている情報に取り違いがあります。

このツイートを見ると、CitadelがGameStopを空売りしたMelvin Capitalを保有しながらRobinhoodを持っている会社という風に見える。それが本当であれば、Citadelという会社は自分の空売りの損を阻止するためにRobinhoodアプリを制限したのもおかしくない(もちろんそれが本当であれば違法になります)。ただ、ここでは大きな間違いがいくつかあります。

まず、Citadelという会社は二つあるのが大事なポイントです。一つはCitadel LLCというヘッジファンドで、もう一つはCitadel SecuritiesMというマーケットメーカーです。別会社なので、Melvin Capitalと関係性を持っているCitadelはRobinhoodと関係性を持っているCitadelとは違う。Melvin CapitalをCitadel LLC(ヘッジファンドの方)はコントロールしてないです。今回の騒動で一部資金提供しているのは確実だが、Citadel LLCが完全にMelvinをコントロールしている要素は全くない。

Robinhoodアプリと関係性を持っているのはCitadel Securitiesだが、Citadel SecuritiesがRobinhoodをコントロールしている噂は全くの嘘。Robinhoodは創業メンバー以外に、SequoiaやRibbit Capitalという有名VCが出資しています。Citadel Securitiesはマーケットメーカーとして、Robinhood上で行われる取引を買収して、それに対してフィーを払っている「Payment for order flow」という仕組みで儲かっている。

この「Payment for order flow」を簡単に説明すると、Robinhoodアプリで株を購入した際に、Robinhoodはそれを株式市場で売買しているのではなく、そのオーダーをフィーの代わりにCitadel Securitiesみたいなマーケットメーカーに売っている。Citadel SecuritiesはRobinhoodなど色んな場所からオーダー情報を持っているため、買手と売手が提示する値段が分かる。その間に入ることで、$10の株価で誰かが株を買いたいとなると、$10未満で売りたい人を見つけて、その差額分を儲けている。

Robinhoodが人気な理由は、個人投資家にとって手数料を取らないところだが、その代わりにCitadel Securitiesなどのマーケットメーカーに取引を流して売上を儲かっている。実際に、Robinhoodの売上のうち、約40%〜55%がこの「Payment for order flow」から来ていると言われている。

このため、Citadel SecuritiesとRobinhoodはクライアント同士としての関係性だが、株を持っているエビデンスはない。Citadelとしては取引があった方が儲かるので、Robinhood上でGameStopなどの株の取引を制限する理由はあまりない。

Robinhood株主でヘッジファンドと関係性のある企業が取引停止をプレッシャーした
Robinhoodは色んな株主がいる中、実はヘッジファンドも複数社が出資している。その中でも、少なくとも$200MほどRobinhoodに出資しているヘッジファンドのD1 CapitalがGameStopに空売りをした影響で20%ダウンだったことが判明された。

このD1 Capitalなど、Robinhoodの株主でGameStopなどに空売りしているヘッジファンドがRobinhoodに取引を停止するようにお願いしているのではないかという噂が出てます。その中でも、Robinhoodの筆頭株主であるSequoia Capitalもプレッシャーしているのではないかと言われている。Sequoia Capital自体は空売りしていないものの、SequoiaのLPの中にヘッジファンドも多いからこそ言われている。

Sequoiaは正式に、このようなレスポンスをしている。

実際にプレッシャーしたかもしれないが、今のところ、そのエビデンスはない。そして、プレッシャーしたとしても、Robinhoodがそれに応じなければいけない理由は全くないので、これも恐らく真実ではない。

真実は、Robinhoodが取引を行うコストが上がり、キャッシュ的に厳しかった
実際に起きていることは、Robinhoodがよりボラタイルな取引を扱っている際に、より高いコストを支払わなければいけなく、その影響で会社が資金的にショートしそうになっている。Robinhoodで取引を行う際に、取引をクリアリングハウスという金融機関に送って、そのクリアリングハウスが取引を処理する。Robinhoodで特定の株価で購入したユーザーが必ずその値段で購入できるような保健的な役割も果たしているのもクリアリングハウスである。

具体的に説明すると複雑になるのでシンプルに語ると、このクリアリングハウスは株価が激しく上がり下がりしている銘柄に対して手数料を高くしている(そうしないとクリアリングハウスがリスクを背負う)。その手数料がGameStopの株価の爆上がりによって日によって3倍以上上がっているため、それを毎回支払うとRobinhoodは儲からなくなってしまう。

これを上手く英語で解説しているのがRobinhood競合アプリを作っているWeBull CEOのアンソニーデニール。そして、この説明に対してRobinhoodのブログ投稿を見ると、似たような話をしているのが分かる。

Robinhoodが資金的に余裕がなくなっているのは、GameStop騒動の期間中のRobinhoodに関してのニュースを見れば分かる。Bloombergによると、Robinhoodは騒動中に$500M〜$600M分のクレジットラインを引いたとのこと。そしてNew York Timesの報道でキャッシュ的に厳しいため既存株主から約$1Bの資金調達を行ったことがわかった。

Robinhood CEOのブラッド・テネフがCNBCでインタビューを受けた時に資金的に問題があるとは言わなかったが、ボラタイルな市場に対しての支払いがあると言った。

Robinhoodに怒っているユーザーは多い。Robinhoodのアプリランキングが落ちて、一時期星の数が1つになっていた。

他のアプリへ移行しているユーザーも増えている中、過去にUberなどでも起きたような「Delete」キャンペーンが始まった。

ただ、実際に中身を開けるとRobinhoodが悪意を持って取引を制限したのではない。しかも購入することができなくても、売るのは問題なかったので、個人投資家が全くコントロールが得られなかったかというと、それも違う。もちろんRobinhoodは会社としてこのリスクがあることを想定してなかったことに対しては指摘があっても良いが、会社がヘッジファンド側のためにこの行動を取ったのは恐らく嘘である。

何故Robinhoodがもっと明確にこの問題について発表しなかったのかは、いくつか理由がある。一つはブランディングとして、キャッシュが足りないと発言してしまうと、信頼が失われる。最終的には同じ結果になったが、自分の事業の課題をさらけ出す社長はいない。そしてもう一つは、SECやクリアリングハウスとの関係性やRobinhoodに何を伝えたのかがもしかしたらNDAなどで言えない状況になっているかもしれない。

パート4:Robinhood騒動後の動き

Robinhoodは資金調達もしたおかげで、GameStopなど空売り銘柄に対して制限を緩め始めたものの、制限を取り外してはいない。しかもこの騒動で色んな個人投資家が他の銘柄も買い出したので、制限されている銘柄が増えている。

今現在(1月30日時点)では以下のような制限となっている。

GameStopに関しては株を買う人がまた増えて、今では$325となっている。WallStreetBetsやTwitterでは、$1,000の株価まで持ち続けると発言している人たちも増えている。

空売りするヘッジファンドを大損させるのを喜んだ多くの個人投資家は次のターゲットを探している。以下のような「かなり空売りされている企業リスト」がTwitterやWallStreetBetsで出回っている。

ここ数ヶ月はGameStopと似たような動きがあると思われる。

今回の騒動に関して、色んな業界から違う反応が出ている。多くのメディア企業や政治家は大人数の個人投資家が集まって投資するムーブメント投資について批判の声をあげている。一方でテック業界の一部ではSNSの影響を感じなかった金融業界がインターネット・コミュニティの力でやっと過去(リーマンショック)の出来事に対して復習できたと喜んでいたり、根本的に金融システムの問題を表していると言っている。

確実に行われるのは、アメリカ政府が今回の件について調査を行うこと。そして、恐らくヘッジファンド側及び個人投資家側に対しての規制を作る。ヘッジファンド側に対しては空売りの精度に見直し、個人投資家に対してはRedditやDiscordなどで相場操縦みたいなことが起こらないような規制が考えられる。

解決案

今回のGameStop及びRobinhoodの騒動について、いくつか解決案が上がっています。まずRobinhoodのコスト削減をする解決案として、ブロックチェーン技術を活用するのがテック業界から勧められている。

正直、ここの細かいところは調べきれてないので、Off Topicの方で調査しながらまた別途アップデートしたいと思います。

GameStop騒動の解決案としてはATM調達(At-the-Market Offering)を行うこと。これは空売りの問題を解決しないが、Short Squeezeの問題を解決できる策。今回の騒動ではGameStopは会社として全く儲からないし、キャッシュも得られない。ただ株価が上がって後々落ちて、場合によってはその影響で信頼されなく株になってしまうかもしれない。GameStopが取れる戦略は、この瞬間第三者割当増資を行うこと、いわゆる新株発行を行うこと。今は株の流動性が低く、みんな買いたがっているので株価が上がる。一気にサプライ側を増やすと、複数の効果が生まれる。まず、今の株価で調達できれば、GameStopとしてはかなりキャッシュを集められる。そして同時に新株発行して、株価を下げられる。それによってShort Squeezeを防げるようになる。何故GameStopがこの行動を取っていないか分からないが、Short Squeezeや空売りを防げなくても、少なくとも資金調達ができる仕組みなので、GameStopからすると悪い話ではない気がする。

逆に、Melvin Capitalなどヘッジファンド側の立場からすると、大損を抱えると理解し始めたタイミングでGameStopに買収オファーを出してもよかったかもしれない。$55Mの空売りポジションが恐らく数千億円の損になるのであれば、GameStopを数千億で買収する提案ができたはず。GameStop側の経営チームとしては、フェアな値段で買ってもらえるのであれば引き受けて、ヘッジファンド側からすると株をコントロールすることになるので、大損するリスクを削減できる。

どちらとしても、このGameStop騒動は一時的な面白い出来事ではなく、投資の民主化された時の課題、ヘッジファンドや大手金融機関が権力を持つシステムについての課題などを明らかにした出来事。これをきっかけに規制や株式市場でのトレーディングが影響されることは間違いない。

そしてこれは個人投資家だけが儲かっているという話でもない。まず、取扱金額から見ると、恐らくどちら側にもプロの投資家がいたことがわかる。

最後に、これをムーブメント投資やヘッジファンドなどに対して中指を立てられる動きで、コミュニティ・インターネットの力を占め尽くすチャンスと言っている人も多いが、この人たちはGameStopについてどう思っているのかが気になる。どこかのタイミングで株の爆買いが止まるが、その瞬間GameStopの株価が劇落ちする。5.3万人の従業員がいる会社としては、どこまで落ちるかによって、会社の信頼度が落ちて、人をクビにしなければいけないかもしれない。

そんな中、アメリカ政府が根本的にシステムを改善することに期待している。リーマンショック後はDodd Frankなどの規制があったものの、それ以外の大きい規制はあまりなかった。ただ、こういう出来事のきっかけで業界が変わる可能性がある。特にアメリカでは珍しく共和党と民主党が共同で動き始めているので、本当に何かが変わる予感はしている。

Written by Tetsuro (@tmiyatake1) | Edited by Miki (@mikikusano)